「…あっ…!」
思わずもれただろう綾乃の声を俺はしっかりと聞き取った。
まるで、隠し事をしてたかのような声の漏れ方だった。
悔しい。
「あ――ぁ、面倒な場面に来たね…大和」
「…っ…るせぇよ」
胸が詰まって…何か変なもの食べたっけ?
毒リンゴでも食べたか?はは…何の物語だよ…。今はそんな綺麗な物語の中じゃない。
ドロドロな昼ドラのワンシーンみたいに黒くて重い。
「黙って帰れば良かったのに」
いつもの表情と違うショウを見てやっぱり、腹腸が煮えくり返るような思いをした。
「俺の女だろ、ソイツ」
「今更、綾乃ちゃんの彼氏気取り?…ハッ…笑わせんな」
「あぁ ?」
顔つきも俺に対する態度もガラリと変わった。
何だ?何があった?

