次の年、俺とガクとは2年になり、アイさんは3年になった。
ニューロンは相変わらずフリーターで、しばらく定職につく気はないようだった。

我がオカルト研究部も去年となんら変わりない。

「4月だっていうのに、今年は新入部員なしかー」
残念とも安堵とも取れるように吐き出したのはアイさんだった。
やはりこの慣れた空間を何者かに壊されるのは嫌な気がした。

特にアイさんは、他人が自分の空間に入りこむのをとても嫌がる人で、恋人が部屋に踏みいるのすら不快らしい。
彼女曰く「将来は絶対結婚しない」のだそうだ。
部室は大丈夫なのだろうか、自分は不快がられてないだろうかとも思ったが、追い出されないところを見ると平気だということだろう。

パソコンをおもむろにいじっていた俺は、メールが受信されているのに気が付いた。
ニューロンからだ。
「明日からの連休、心霊スポットに行こう」
大方こういう内容だった。

「だってよ」
俺は二人にメールを読み上げてやった。
「このディーヴァの薔薇の館ってどこ?」

メールに書かれた場所を俺は尋ねる。
地元ではないのでよく知らなくて当然だと思っていたが、地元民の二人もわからないと首を振った。