薔薇の眷属

オカ研……
まだ会ったばかりだが、ガクらしいと納得してしまう。
その友達というのも大概普通じゃなさそうだ。
「どう?」
期待の目でガクは見つめてくる。
断る理由はなかった。
それなのに何故か俺の唇はイエスと言うのをかたくなに拒否するように動こうとしない。
俺には霊感はないし勘もきくほうではない。当時も、そして今もそれは変わらなかった。
自己防衛本能だったのだろうか、今となってはそう思う。


俺には子供のような部分がこの頃でも大いにあって、自分でも馬鹿げていると思うくらいだった。
冒険がしたい、未知の生物に会いたい、特別な力が欲しい。そういった類の、夢だ。
もちろん叶うはずはないとわかっている。それが口惜しくてたまらない。

だが夢に近づくことはできる。
オカルト系の本を読みふけっていると自分が魔女になったり未知の生物に近づけた気がして心が満たされた。

そして今目の前には霊感体質のガクがいる。
十分に楽しめそうじゃないか。
俺は勢いよく答えた。
「入る」
と。