ますますわからない。
「私たちは……諸事情で、世間から隔離されて生きていかなければならない。君たちみたいに外界から来た人と話すのは久しぶりだから」
「お待たせしました」
ヤモリがモスキーに目配せしている。
余計なことを言うな、そう言いたかったのだろう。
アンティークもののテーブルと食器にはおよそ不釣り合いな普通の家庭料理が並んだ。
漬物、天ぷら、味噌汁、それにゆで卵とじゃがいものサラダ。
「いただきます」
「……イタダキマス」
モスキーに倣ってローズもボソボソ唱えた。鈴を転がすようなというよりは、もっと透き通った、どこか暖かみに欠ける声。
コトリさんはにこにこして手を合わせるだけだった。
「あなたがたもどうぞ」
ヤモリに促され、俺たちも慌てていただきますと手を合わす。
「予想外に人数が増えてよかったです」
皆黙々と食べている中、ヤモリが上機嫌で言った。
「今日はタイムバーゲンに間に合ったのでつい食料品を買いすぎたんですよ」
「だから今日卵入ってるのか」
「生協で98円だったんで」
ずいぶんと普通の会話が、この家で聞くと異常性を醸し出す。
「野菜、美味しいね」
「自家製ですから」
ガクはあれも美味しい、これも美味しいとパクパク食べていた。
一方俺たちは各々別のことに脳味噌を支配されていたので、味わうどころではない。
「私たちは……諸事情で、世間から隔離されて生きていかなければならない。君たちみたいに外界から来た人と話すのは久しぶりだから」
「お待たせしました」
ヤモリがモスキーに目配せしている。
余計なことを言うな、そう言いたかったのだろう。
アンティークもののテーブルと食器にはおよそ不釣り合いな普通の家庭料理が並んだ。
漬物、天ぷら、味噌汁、それにゆで卵とじゃがいものサラダ。
「いただきます」
「……イタダキマス」
モスキーに倣ってローズもボソボソ唱えた。鈴を転がすようなというよりは、もっと透き通った、どこか暖かみに欠ける声。
コトリさんはにこにこして手を合わせるだけだった。
「あなたがたもどうぞ」
ヤモリに促され、俺たちも慌てていただきますと手を合わす。
「予想外に人数が増えてよかったです」
皆黙々と食べている中、ヤモリが上機嫌で言った。
「今日はタイムバーゲンに間に合ったのでつい食料品を買いすぎたんですよ」
「だから今日卵入ってるのか」
「生協で98円だったんで」
ずいぶんと普通の会話が、この家で聞くと異常性を醸し出す。
「野菜、美味しいね」
「自家製ですから」
ガクはあれも美味しい、これも美味しいとパクパク食べていた。
一方俺たちは各々別のことに脳味噌を支配されていたので、味わうどころではない。
