恋愛というものがわからない時期があった。


小学生のうちは「誰誰が好き」なんてしばしば言っていた気がするが、あれは半ば友達との話題作りのための「ポーズ」で、決して本気ではなかったように思う。

中学に入っても高校に入っても、やっぱり同級生の恋愛話についてはいけなかった。いやそれどころか、友達との関係すら危うくなっていたのだ。
孤立していた、そういう表現が的確だろう。

原因は二つ。
一人称が「俺」であること、それから俺がレズビアンであることだった。

自分が同性愛者だと気付いたのは中学の時だが、同じクラスの女子にこっぴどくフラれてからは人に恋愛感情を抱くことすらなくなった。



高校までの話はさておき、こんな俺も一浪した末に田舎の小規模大学に入学した。
それが五年前の話だ。


思うところがあったので、当時の日記を参考にしつつ文章を綴っていこうと思う。
記憶が曖昧な箇所があるかもしれないが、どうかご了承いただきたい。



200×年 8月 薔薇の館にて