小さな湖の畔(ほとり)には、灰色の塔が聳(そび)え立っている。 その重く厚い扉には、頑丈そうな鎖が幾重にも重ねづけられ、ずっしりとした鉛色の南京錠がその存在を煌々と主張するかのごとく、掛けられていた。 塔の周りの大地には、銀色の花が咲き乱れ、黄金色の蝶がふわふわと舞っている。 塔には一つだけ窓が付いていた。 その窓から見え隠れする蜂蜜色の髪の毛。 塔の中に閉じこめられた呪われた天使。