淳はあの場所に行ってみたかった…。


そう、最初に食事をした15Fのレストラン。


「さくら、場所を変えて15Fの、昔に行った店に行かない?」


「うん」ってさくらも喜んだ。


少し迷いながらお店まで行ったけど、その日は団体の予約で満席だった…。


残念…。


時計を見ると21時前…。


「もう少しだけ付き合ってよ」


ぶらぶら歩いて駅前の居酒屋で、二人は23時の閉店まで飲んだ。


淳は酔っていた…。


「さくら〜、お願いを一つだけきいて…」


「えっ?何よ…」


「ハグさせて〜〜」


さくらも少し酔っていた…。


「ん〜、ほんまにそれだけならいいよ」


その返事を聞いて、淳はさくらをギュッと抱いた…。

それは5年前に、最初に出会った京都タワーの下にある、スタバの前の交差点…。小雨の中、信号待ちの人も居たけど、ギュッと抱いた…。


淳は凄く安心できた…。

ほんの一瞬のハグ…でも心の中で、さくら…お前を苦しめている要らないものを、今全部俺に渡せ…。


俺が受け取ってやるから…。


そお心の中で呟いていた…。


さくらもハグされて、安心した…。


表現するのは難しいけど、何かスッキリした感じ…。

二人は交差点を渡り、タクシー乗り場へ向かった。


「また、来月来るから会おうな。」


淳はさくらをタクシーに乗せて、手を振っていた。


慌ただしい時間だったけど、さくらは今日会えて良かった。心からそお思った…。


さくらを変えてくれようとしている淳…。


変わりたいと願い続けていた自分…。


それを更に実感する事が出来たハグ…。


変われる!!


さくらは帰りのタクシーの中で、自信を持ってそお思った。