約 束(第一部)

彼は仕事で日本中を飛び回る事があった。


そんな時は自分でヘリコプターを操縦して移動する事もあった。

「お昼頃にさくらの職場の上を通るから、合図する」

間近で聞こえるヘリの音……。


空を見上げると、ライトをチカチカさせている。


そんな変わったラブコールも何度かもらった。


お金は貰わない愛人…。

でも欲しい物は何でも買ってくれた。


高価な食材を持って来ては、さくらの家で彼がご飯を作ってくれた。


寂しいと考える暇も無いぐらい幸せな毎日。


彼は客室も幾つかある、大きなクルーザーを持っていた。そのクルーザーで何日間か過ごす約束をした。

新しいワンピースや水着も買った。仕事の休みも調整出来た。


その日が来るのが待ち遠しくてしょうがなかった。

でも当日の朝、彼からの連絡…。


「急な仕事で行けなくなった。」


怒る気力もなかった…。

2日後の夜、彼が家に来た。

顔を見て怒りが爆発した。

「中途半端な愛人には、中途半端な約束しかしないって事か都合のいいだけの女にするな」


初めて彼に怒鳴った…。

彼は何も喋らなかった…。