どうして私ばっかり我慢していなきゃいけないの!?輝ばっかり勝手だ…!



「つ、ツテって…元カノでしょ!?…そうだよね?」


「いや、笹森は彼女じゃ…」


「はぁ?彼女じゃない!?それなら何なのよ!」


さっきのフレーズに妙な違和感を覚えた私は、立ち上がって輝を睨みつけてしまう。



「…斉藤さん、一旦落ち着こうか」


「わ、私はフツーです…!」


「それなら、その眼は何?」


「感情任せですよ…!」


「フッ・・・」


どうしてこういう時にも、澄ました表情が殆ど崩れないのか疑問で仕方ないし。



さっき誤って“りん”って呼んだクセに、今はもう“斉藤さん”に戻ってる…。



オマケに彼女が必死な状況で、鼻で笑うなんて失礼にもほどがあるでしょう?



怒り狂ってる私とは大違いだから、余計に子供っぽさを露呈して悔しさが増す。




「話してくれないなら、…もういい」


「何がもう良いんだ?」


どこまでも落ち着いた仕事モードの低い声色に、グッと拳を強く握りしめる私。



あー、もう我慢出来ない…!幾ら好きでも限度がある!いい加減にして欲しい…!