スラッとしていて華奢な体型の彼女なのに、今はこの場の誰よりも存在感がある。
いや…私を数に入れて、社長であるお兄さんと同類にするとは失礼だろうけど…。
「鈴…、使えるモノは使わなきゃダメよ」
「は、はぁ…」
社長が先ほどの西本さんへ内線で指示を出すと、私の肩を叩いて満足気な表情だ。
ややっ…、使えるモノのスケールが大きすぎて、もう頭がついていかないのですが…。
「そのウマーな性格、親父そっくりだな…」
「あんなのと一緒にしないでよ」
お兄さんの呆れた声にも、ツンとそっぽを向いてしまうから唖然とするばかり。
「それで話を戻すけど…、私は後妻の娘なんだけど、父と母は6年前に離婚してるのよ。
あ、ついでに兄のお母さんも当たり前だけど離婚してるからね。
オマケで暴露しちゃえば、今は15歳下の人と再々婚してるわ。アノ女好き――」
「…そ、そっか」
2人のお父さんとは現会長にあたる人で、その方にもシビアな発言をする涼子。
「そう言ってやるなよ…、溺愛されてたクセに」
「ふんっ、過去は過去よ。
ていうか、アノ女好きなトコが無きゃ尊敬出来たけど」
「ソレを言われたら、擁護はしてやれねぇな…」
「当たり前でしょ」
両腕を組んでツンとした様子の妹に対し、ハハ…と乾いた笑いを見せるお兄さん。