「原田さんは恋愛小説が好きなんやろ?」 くるりと愛子の方を向いて、健二は訊く。愛子は突然話を振られたので、ビクリと肩を震わせてから俯いてしまった。 顔が赤くなっているのだけど、それは自分のハマっていることを他人に知られたから恥ずかしいのだ。 「え………と、」 「俺はいいと思うけどな」 「え………」 何を言おうかと頭を悩ませていると、征登の声がした。