校内にチャイムが鳴り響き、 教室が夕暮れに染まる頃…。 生傷の目立つ体の榊原が 教室で1人、掃除をしていた。 部活終わりの優一は 忘れ物を取りに、 1人、教室に戻った。 「あっ……!」 優一に気付いた榊原は 短い驚嘆の声を出し、 その後、小さく俯いた。 「1人で掃除?」 優一は声をかけた。 「……。」 何も言わなかったが、 榊原が頷いたのを 優一は見逃さなかった。 優一は余っている ほうきを手にし 無言で床を掃き始めた。