「何?このチョコは返さねぇからな?」


ニッて笑った紘斗は、チョコを一つ口に放り込んだ。


「ち、違うもん!!」


少しムキになって反論する。

今度こそ本当に怒ったら、どうなるんだろう…。

でもそれで紘斗が呆れて、別れられたら嫌だし…。


あたしは紘斗が大好きだから…最大の弱みを握られてて、結局動けない。




「ははっ!!うーそ」


急に紘斗の顔が近付いてきて、チュッと軽く唇が触れる。

そして、低くて甘い声で呟いた。


「愛してるよ」


あたしなんかの考えは、紘斗にはバレバレだったみたいで……

仕方なく、今度はじっと地面を見つめる。


このニヤけた顔は、きっとチョコレートが甘かったから…。

今日は糖度高めのバレンタイン。