「美祢は優しいよ。思いやりがあって、芯が強い。俺みたいな弱虫を、見捨てないでくれたじゃん」


小さく囁く声に、あたしは反論する。


「紘斗のは、弱さじゃなくて優しさだよ。心が温かいから…」


それは間違いなく、短所ではなく長所。

そんなあたしの言葉に、フッと笑った紘斗。


「そんな風に言ってくれんだ?……だから俺は、美祢が大好き」


背中に回らせた手に、少しだけ力が加わる。




「こんな俺でも、また人を好きになれた」


あたしに伝わってくる紘斗の鼓動は、あたしみたいに早くて……

同じ気持ちなのかもって、勘違いしてしまいそうになる。


「……金髪は?何でまた色抜いたの?彼女のためでしょ?」


意を決して聞いたあたしに、紘斗は小さく笑った。


「あぁこれ?今日のために、気合い入れてきた」


今日って…あたしのため?

……本当に、本当なの…?