恋の星屑





「や、やだよ!!イケメンじゃないし!!あんなやつ…」


「ありゃりゃ、知り合いなんじゃん。そうじゃなかったら、一発殴りに行こうと思ったのに…。なんならいっそ、その人にすればいいじゃん!せっかく手の届くとこにいるんだから」

「絶対にヤダ!!…それに、そうポンポン決めらんないよ…」

「なんで?付き合うじゃなくて、飼うんだから」

「か、飼うって…」

「そ。向こうにとって私達はご主人様、だからさからえないの。いわゆる下部(シモベ)なんだよ。そのかわり…」

「うわっ…美桜!こんな所で…」


突然、美桜が制服のボタンを外し始めた。
咄嗟に手が出たけど…


首筋に、二つの穴の傷が見えた。
これって、もしかして…



「誰もいないから大丈夫だよ。
それより見て、これが吸血鬼を飼ってる証拠だよ。

吸血鬼を飼うということは、その代償に血を渡さなければいけないの。
そうしなきゃ、死んじゃうからね。

私達には、その身を守ってくれる吸血鬼がいるし、一方吸血鬼は、したがうかわりに血を与えられる。
両者とも両立よく出来ているでしょ」

「…でも、何か恐い」

「襲われるのは、血を与えるより恐ろしいことなんだよ。

襲ってくる奴は、ただ血を欲しさによってきてるんだよ。

もし捕まったら、今までとは逆の立場になるんだから」

「逆?」

「吸血鬼に、私達が飼われるの。

死ぬまでずっと。
一生逃げられない、吸血鬼の穴場に連れてかれたら終わり。

そうなるぐらいなら、死んだほうがマシだよ、私は」


ギリッ、と唇を噛み締める美桜。
まるで、実際に自分が体験したような口ぶりに聞こえた。


「…わ、わかった。探してみるよ」

「死にたくなかったらすぐ探してよ!心優は鈍臭いんだから」

「す、すぐ見つけるもん!!」

「どーかなぁ……ま、心優にはあたしがいるからいーけど♪ もし心優に側近ができて、けどもしそいつが心優に変なことしたら………そんときは、私に言ってよ!すぐに駆け付けて…」

「大丈夫だから!!きちんといい男見つけるから!!」