「そだ」

「ん?」

「昨日、心優の家の前に、男の子がいたんだよねぇ」

「えっ!?」


なんとなく、嫌な予感がした。
けど、それは見事に的中した。

美桜はニヤニヤと、嫌らしいものでも見るような目つきでこっちを見てきた。


「扉が開いたと思えば、すぐ中に飛び込んじゃってさ。その後すぐに扉は閉まっちゃって、その先が見れなかったんだけど…。なに?何があったの?♪」

「な、何もないよ?」

「その後男の子だけが出て来てさ。そんで男の子と目があって、あたしが心優の友達だって言ったら………心優に、首飾りを付けてけって言うように頼まれたんだよね。…あ、それそれ!ちゃんとしてんじゃん」


指を指された所、胸元には、ついさっき付けたばかりの首飾りがあった。

せっかく貰った物を、ずっと引き出しの奥に閉まっておくのはどうかと思ったからであって、ソラが帰って来たからとか、断じてそういう意味ではないんだからね!!


いくら心の中で叫べても、美桜の前では口がさけても言えないよ…!!


「なんかあやしい…。あの人に貰ったものなんでしょ?」

「…そうだけど、そんな別に深い意味では…」

「それ、十字架だよね。男の子から貰ったんでしょ。昨日誕生日だったから16歳か!それじゃあそれは、魔よけだね」

「…そういえば、ミオこそ同じ16歳じゃない。今までどうしてきたの?…てゆーか、あの噂ホントなの?」


「ホントだよ♪初めて見たときはそりゃ驚いたけど…、ね。守ってくれるのは、彼氏だよ」

「かっ…彼氏?!」

「吸血鬼だけど」

「ええっ?!」

「吸血鬼に対抗するには、吸血鬼でしかないでしょ」

「でも…人間じゃないんだよね」

「自分の身の安全のためだよ。だけど、私はあいつのこと本気で好きだから。近寄ってくる奴が全員敵であるわけじゃあないんだよ。自分を助けてくれる奴が、少なからずいるわけ。心優も探しなよ。吸血鬼取り=イケメン取りなんだから!…あ、そだ。吸血鬼じゃなくても、ただ強ければそれでいいからね。昨日の彼、よさそうじゃない?」