それを見た瞬間、顔中が熱くなるのを感じた。
「…な!あれは小さい頃、あんたが勝手に――」

「あぁ、あんたが泣いてた時な。何言っても泣いてばっかで、俺の話に耳かたむけやしないからさ。すぐ涙引っ込んだもんなぁ…やっぱ俺天才?!」

「天才じゃないし!あんた、サイテーっ!!」

「まぁまぁ…そんなに怒んなくても」

「怒るよッ!!」

「はいはい、わかったから。それよりさ、喜べよ!」

「何を喜ぶの?…喜べるか!!ファーストキスに続き、二度目も奪われたんだから…!!」

「…抵抗、してなかったじゃん」

「…う。あれは…あんたが強引に」

「まぁ、俺の話きーてよ。お前にとって、いい知らせかもしんないし?」

「…いい知らせなら、聞くよ…」

「よし、いったな!俺がここに来た理由はな、お前を守るためなんだ」

「…は?」

「今日で16歳だろ?てことは、奴らに襲われる日の始まり、ってわけだ。だから俺、昨夜からずっと家の前にいてやったんだ。どうだ、ありがたいだろう?」


胸を張って天狗になったつもりみたいだけど、こっちは全くもって、これっぽっちも感動などしていなかった。
…というか、出来なかった。


「あの、さ……悪いんだけど」

「お、なんだ?何か頼み事か?何でも言え!俺はこれからずっと――」

「…悪いけど、あたしにとってはね、あんたが一番最初の変質者なんだからね!!」

「え…えっ?」

「それに、あんなのただの噂じゃない。事実なわけない」

「ミユ…?」

「それに!! 十年前、突然別れも無しにいなくなってさ!あたしの気も知らずに!それで突然現れて何?酷いよ!!」

「ゴメン……あん時は…その……用事があって」

「そんなに大事な用だったの?あたしにとっては、ソラは大切な友達だったよ?」

「ミユ……俺は」

「いや!聞きたくない!!」

「どーしてだよ?!」

「ソラ?反省したら、その時来て。いーい?わかった?…それじゃ!!!」

「お、…おい、待てよ!!」


澄空を家から追い出して、扉を勢いよく閉じた。


人の気も知らないで…

ばっかみたい!!!!!