「今日は随分お喋りなんですね、マスター。」

エイジは少し、にやけながら言った。

「今日は何かそんな気分なんですよ。私がカイトと尾藤に出会った日と同じように雨が降ってるからかもしれません…。」

マスターは窓の外を見ながら答えた。

「それじゃあ、ちょっと長い話になると思うんで、コーヒーいれますね。」

マスターがそう言って後ろの棚から豆を取りだし、挽き始めた。

コーヒー豆の薫りが店中に広がった。

その香ばしい薫りはさっきまでモヤモヤしていたエイジの心をスッキリさせてくれた。

「それじゃあ、話し始めますか。」

煎れたてのコーヒーをエイジに差し出してたマスターは言った。

「あれはちょうど6年前…」