情報収集の結果、今回は大阪支店に事業提携の話を持ち出し、億単位の金を騙しとるというものに決めた。
最近関西に進出してきたばかりの三富士銀行は経営の一切を大阪支店長に任せており、本来本社にも許可を得なければならない話も支店内のみで決定できる状態だった。

関東と関西の経営を分離し、競争させ、事業の活性化をはかろうというのが本社の考えだった。

しかし、この珍しい試みは海藤にとっては格好のカモに過ぎなかった。

今回海藤は経営難の大阪の地方銀行の頭取に成り済まして、大阪支店長に近づく事にした。

調査によると大阪支店長の横山 大介(よこやま だいすけ)は大の酒好きらしく、毎日のように仕事終わりにとあるバーで飲んでいるとの事だった。

午後9時30分。
海藤は変装を終えると横山のいきつけのバーに向かった。

バーに到着して店内を見回すと横山はすでに飲んでいた。

幸い、一人でカウンターで飲んでいた。

横山を発見した海藤はすぐさま2つ隣の席に座った。
午後10時。
横山はほろ酔い気分になっていた。

そのタイミングを見計らって海藤は動きだした。