結局、海藤はそのままホテルをチェックアウトし、とりあえず渋谷を散策する事にした。

その途中、偶然にも浜野と出会った。

「あっ!!海藤さんじゃないですか!昨日、いきなり帰っちゃうんでびっくりしましたよ!」

浜野は朝からテンション高めだった。

「そらぁ悪かったな。あの後尾藤はなんか言っとったか?」

「そういえば、尾藤さんが海藤さんともう一度話したがってました!」

それを聞いた瞬間、海藤は心の中でガッツポーズをした。

「そうか。ほんなら、今からお前の店行くさかい、尾藤呼び出してくれへんか?」

そう浜野に言った後、海藤は笑みを浮かべながら、昨日の駆け引きに勝利した事を確信した。

しかし、そのすぐ目の前では同じように浜野が笑みを浮かべていた。

喜びのあまり、その事に気付かなかった海藤はこれからとんでもない事件に捲き込まれる事になる…