尾藤の発言はその場を一気に殺伐とさせた。

そして、海藤と尾藤の駆け引きが始まった…。

「なんでそう思うんや?」

海藤が先に質問した。

「目だよ。君の目には何か陰謀のようなものが見えるんだよ。それも強大なものがね。
君、一般人じゃないね?よく見れば裏世界の人間の目をしている。一体何者なんだい?」

尾藤は答え、海藤に質問し返した。

「あんたも俺と同じ匂いがするなぁ…。まぁ隠してもしゃあないし、ええか。
俺は詐欺師や。大阪じゃあちっとは名が知れとる。あんたも正体ばらしぃや。」

海藤も負けじと質問した。
意外にもあっさり正体をバラした海藤に尾藤は少し動揺した顔をしたが、すぐさま平然とした顔に戻り、コーヒーを一口飲み、答えた。

「私は…。ただの記者ですよ。以前は“ゾディアック”を追ってました。今はもう追ってはいないですけどね。」

「記者?どうりで裏社会に詳しいわけやな。まぁええわ。とりあえず“ゾディアック”に会わせてくれや。」

「あなたちゃんと話を聞いてましたか?もう“ゾディアック”を追うのは辞めたんです。それに彼らに会った事なんてありませんよ。」

尾藤は苦笑いしながら、またコーヒーを一口飲み、言った。

すると海藤は笑だした。