―――――――…
――――…
独特の薬品の匂いと、針がカチカチ、と一秒毎に刻む音がする。
「………ん」
恐る恐る目を開けた。
「……此処は…?」
「保健室」
横を向くと壱の姿が目に入った。
「どーして私………ハッ」
そーだ!!
試合中に目眩(メマイ)がして…
「ッ試合!試合は?!」
起き上がり壱の腕を強く握ると同時に、再び頭が重くなりベッドに身を委ねた。
「…そんな事より、千優」
壱の声はいつもより少し低い。
なんか怒ってる…?
「…お前、何で言わなかった?」
「へ?」
「風邪引いてる事。熱38度あったんだってな」
「ウソッ」
…そりゃ身体が怠い訳だ。
私の反応を見てはぁ〜と溜息を零す。
「無理はすんじゃねぇ。千優が倒れた時心臓止まるかと思った…」
「……ごめんなさい。どうしても勝ちたくて…」
「けど、無理して今みたいに倒れられる俺の身にもなれ」
―――ドクンッ
壱…
その台詞にその顔は反則だよ…
心臓がバクバクと、壱にまで聞こえるんじゃないかってくらい五月蝿い。
静まれーッ私の心臓!
深呼吸し気持ちを落ち着かせようとした。
すると突然、壱が動いたかと思ったら顔が近付いてきて、唇に柔らかいものが触れすぐに離れた。
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