高校生。


女子高生。


その言葉の響きだけで何か特別なにおいを醸し出す。


大人からすれば少しエロチックな響きみたいだが、こないだまで中学生だったぁたしからすると、少し大人に近づける気がしてならない。


そして何より厳しい校則から解き放たれ自由にお洒落ができる!


そう思いこんでいた。




張り詰める空気が体育館の大きな重い扉をあける前から読み取れた。


少し緊張しながらぁたしは、汗ばむ手を取っ手にかけた。



……あかない。


もう1度押したが開かない。


次に引いてみたがやはり開かない。


位置でいうと体育館横のちょうど真ん中にあった扉だったのでこの扉を選んだがどうやらハズレだったのか?


だがこの大きな扉の前には左右下駄箱があるし、現に皆の靴だと思われる1つの汚れもないピカピカなローファーやスニーカーが並んでいる。


おかしいなぁと思ったぁたしだが、大きな扉の右側に、等間隔にある3つの扉を見つけた。


どこも鍵がかかっていたが1番遠い扉から少し体育館の空気が抜けていくのを見た。


『あっ!!』
と思ったぁたしの足は素直にその空気に飲み込まれに行った。


気持ちは浮かれていた。


ここから大人への道の第一歩が踏み出されるのだ。


新しい制服、カバン、昨日黒染めに失敗した髪、激チャで消えた眉、全てが緊張しながらもワクワクしていた。


“さぁ新しい世界だ!”

勢いよく開けた‘当たり’の扉。


『我が校の生徒らしく規律ある学校生活を皆さん送るよう……』

壇上でメガネを鼻先に外し上目をぁたしに寄せる女性こそ、初めて見るこの学校の‘リーダー’だろう。


この扉はどうも“ハズレ”だった。