うわあ。ナチュラルに呼び捨て。


「うんまあ……」

「ほなら帰ろ」


ん……?


「ちょっと待って。あんたら何処へ帰るの?」

「え?家だけど」

「いやいや、あんたら悪魔じゃん、天使じゃん。家ないじゃん」

「そんなん借りたし」

「借りた…?何処に?」

「楓んちの隣に空き家あるやろ?」

「う?うん…?」


もしや……


「そこが、僕らの家。本当は楓の家に住むのが手っ取り早いんだけど、楓家族いるし」

「いやあああっ」


悪魔が言い終わらない内に、私は腕に顔を埋めて籠もった悲鳴を上げた。嘘でしょ。嘘であって。心身休まる場所がなくなる――。

へたってしまった私を引きずるようにして校舎を後にした悪魔たちを、私は力なく睨んだ。