……ああ。
なんとなくそんな気がしてた。
もう驚かないよ。悪魔がいるくらいだし天使くらいいるだろう。
そんなことより、

なんで皆さん浴室で出会うのかな!うちの浴室にはうえと通じる秘密のルートでもあるんですか。
あ!今も裸だよ!チクショー!

またもや近くのタオルを手繰ると、天使は驚いたように目を丸くして言ってきた。


「隠すようなもんなくない?」


………プチッ。
頭の中でそんな音がしたような気がした。

……ふざけんなよ。こちとら平和ぶっ壊されただけで絶大なショック受けたっつうのに、お前らは勝手に自分らの都合ばっかり並べやがって。勝手に裸見やがって!


「出てけえぇええ!!」


洗面器でお湯をすくって天使にばしゃばしゃと振りかけた。天使に直接ダメージはないものの、私の突然のものすごい剣幕に怯んでいるようだ。

と、次の瞬間、玄関のドアを開ける音がした。多分兄が帰って来たのだろう。浴室の異常に気づいたのかドタドタという足音が近寄ってくる。


「どうした楓え!!」

「兄ちゃん!!塩持ってきて!盛って!!」

「俺ぁ幽霊かっ!」


その惨事の後私はまた(兄ちゃんにも裸見られたああぁ)と、頭を抱える羽目になった。