「!?」


ばっ、と振り返ると、ドアのすぐ横に、金髪で髪の長い男が、にやにやしながら立っていた。

うわ……何これデジャヴ。


「誰?」

「……はあ?」


私に話しかけられたのが余程意外だったのか、マヌケな顔でこちらを見た。いや、こっちのが驚きたいんだけど。


「俺見えちゃってんの?ほんまに?これ、新品なんやけどなあ」


そう言って男は眩しいほどに白い服を引っ張って何かを確かめる。束ねられた髪が、すぅ、と肩を滑った。
うん。イケメンだ。

そんなことを思っていると、白装束の男はこちらに向き直って、ニカッと笑った。


「ま、見えたもんは仕方ないわな。あんた、もうあの悪魔に会うたんやろ?」

「え、あ、まあ」

「じゃあ契約したん?」

「いえ、それは……。」

「え、マジ?ははーん、あいつも奥手やからな……」


うんうん、なんて一人で納得している男に、私は眉を潜める。
だから、あんたは誰だ!


「んん、これはこれは申し遅れました」


こちらの心を読み取ったように、男は私の目をしっかりと見据えて、口元に弧を描いたまま片手をお腹にあてて少し屈んだ。


「俺、天使。よろしゅう」