俺がうとうとし始めた時、隣から泣き声が聞こえてきた。

「うっ……ぐずっ…………。」

そいつが泣いていた。
俺は起き上がるのも億劫で目線だけ、そいつに向けた。

くれー奴。

よく見れば綺麗に見えた髪からは、水滴が滴りおち、くしゃくしゃになっている。

もったいな。
…虐められてんのかな。

俺はそんな事を考えながら泣き続けるそいつを見る。
ちょっと気になって話し掛けてみた。
「なぁ。」
「ひっ!!」
最初問い掛けた時と同じ反応。
凄い怯えっぷりだ。
肩がぶるぶる震えている。
「おまえ、名前は?」
「あ……ひっ…………ひっ……」

日本語が通じないのか?

俺はイライラしたが、なんとなくそいつに興味も出てきたので我慢した。