あれから数日が経っていた。

「ねぇ鈴、このバンド知ってる?」

「えっ?」

「FUTURE YRKRって言うんだけど、この辺じゃ有名なんだ」

「へぇ〜、そうなんだ」

FUTURE YRKRっていうのは、悠太達のバンド名だ。

私は知っているけど、知らないフリをした。

「何か隠してない?」

「隠してないよ……」

「まぁいいや。FUTURE YRKRのチケットとったから一緒に行こっ」

「えっ?」

「用事あるの?」

「ないけど……」

「じゃあ決まりねっ」


そういうと、親友の美鈴(ミスズ)は何処かへ行ってしまった。


久しぶりに嘘を吐いた。

最後に嘘を吐いたのは、幼稚園の年長さんだった気がする。


私は思いっきり、溜め息を吐いたのだった。