斜め前の女子は立ち上がり
本を一冊だけ手にして
勢い良く飛び出して行った




「櫻庭、何なのあの子」


美城は立ち上がると

開かれたドアから
遠くを覗き込む様にして言った



「……さぁ、何だろうな」




斜め前の女子が出て行って
教室には嘲笑う声だけが響いた