「で、どーやってあの真面目カレシくんを黙らせたの?」

「俺は何もしてねーよ。それは果穂が話をつける」

「『果穂』だってー。愁チャン珍しー!」

「……もう、お前とは話さねー」

茶化すだけ茶化す豊にキレた俺は立ち上がった。

「待てよー!悪かったって!機嫌直せって」

睨む俺にも豊は動じない。


そんな俺達の前に果穂が現れた。

「愁!……あ、ごめんなさい」

豊を見て邪魔したのかと果穂が謝る。

「こんなヤツに謝るコトねーよ」

「こんなヤツはヒドくね?」

同意を求める豊に果穂は困惑気味に俺を見る。

「こんなヤツで十分だろ。お前が邪魔なんだよ。果穂、こっち来い」

口元に拳を当てて笑う果穂に豊も珍しく笑う。

「しゃーねーな。お邪魔虫は消えてやるよ。あ、果穂チャン、よかったらトモダチ紹介して」

「誰が好き好んで不良と付き合うかよ」

自分の事は棚に上げて、どこまでも図々しい豊に釘を刺すと俺は果穂を連れて屋上に上がった。