「果穂?」

無理矢理な笑顔を浮かべて俺を見る。

「遅くなってごめん」

「いや…。大丈夫だったのか?」

「大丈夫っていうか…結論が出なかったの…」

「そっか。まー、仕方ねーよ」

申し訳なさそうな果穂を抱いて髪を撫でた。

「ごめんね…」

「気にすんな。果穂が俺のもんってのは変わらねーんだから」

ニヤッと笑うと果穂もつられて笑顔を見せた。

「帰るか」

「うん」







「お前、今、何て言った?」

わざとらしく聞き返す豊にもう一度同じ言葉を繰り返す。

「ケータイ拾ってくれたオンナと付き合ってる」

「ケータイって…あのオンナには……奪ったの?」

奪ったなんて人聞きの悪い。
でも、そう言われても仕方ないか。

「結論から言うとそうなるかもな」

「やるねー」

俺の背中をバンバン叩いて面白がる豊に顔をしかめる。

「あーんな真面目そーなオンナが不良の愁チャンと付き合うなんて、どんな天変地異?そのテク教えてくれよー」

「お前、バカにしてるだろ」

「いやいや、感心してんの」

ぜってー、バカにしてる!