いたたまれなくて藤沢愁の手を振り切って立ち上がった。

「果穂!」

そんな私の手をすぐに掴んで藤沢愁も立ち上がる。

「離して!」

「離さねー」

言葉通り離すどころか逆に引き寄せられて、藤沢愁の腕の中。

「じゃー、俺の傍にいろよ」

「え?」

「俺だって果穂が好きなんだから」

藤沢愁はそう言ってギュッと抱きしめてくれた。







「私…輝くんにちゃんと言うよ」

「大丈夫かよ?」

「うん」

心配げな藤沢愁に笑みを浮かべて返事する。

これは私がつけなきゃいけないけじめだから。
藤沢愁に頼っちゃいけない。

しばらく私の顔を見ていた藤沢愁がふいに自分のピアスを外すと私に差し出した。

??

とりあえず受け取ると、今度は私のピアスを外し、藤沢愁のを着ける。

「お守り代わり…だな」

ニヤッと笑う藤沢愁に私は頷いた。

「ありがとう。藤沢くん」

「愁でいい」

「ありがとう。…愁」

私の髪を撫でて愁は笑った。