私の言葉の意味を知るはずのない藤沢愁は当然自分に向けられたと思ったようだ。

私は一刻も早く藤沢愁から離れたくて、掴まれてる手が弛むと振り切って教室を出た。






今日の輝くんはなぜかご機嫌だ。

「何かいい事あったの?」

「やっぱり果穂はそれがいいよ」

輝くんの言ってる意味がわからない。

首を傾げる私に笑顔で告げた。

「ピアス、止めたんだろ」

あ…。
そういう事か…。

一組しか持ってなかったピアスを藤沢愁に渡したままだったから。

ピアスを見ると藤沢愁を思い出すから。

「ピアスなんて高校生には似合わないよ」

今どき、そのセリフって、輝くんはどこまで固いんだろ。

ピアスでこれだもの。
もし、藤沢愁との事を知ったら…。



ごめんね、輝くん。
私は輝くんが思ってるような女じゃない。
真面目しか取り柄がないくせに、その真面目さが嫌だといつでも思ってるんだもん。