休み時間でザワついている教室の入口で女が1人立っている。

俺が近寄ると顔を上げ、その手には俺のケータイ。

「拾ってくれてありがと」

「いえ…」

ケータイを俺に渡すと少し微笑んで教室に入って行った。


「真面目そーなオンナ」

豊の感想に俺も同意した。

制服を校則通りに着て、崩してるところがない。
ただ、耳に小さなピアスが光っていたのが妙に印象に残った。

ま、顔も可愛かったけどな。

悪めに天秤がほとんど傾いてる俺達には縁のないオンナだ。

「愁(しゅう)。次めんどーだからサボろーぜ」

すぐ先にある俺達の教室に背を向けた豊は先に廊下を行く。

ま、いーか。

豊に続いて俺も教室に背を向けた。