お気に入りの何曲か聞き終わると、検査の時間が来て、部屋がノックされた。

《おはよう美加、検査の時間よ》

そう言いながら入ってきたのは三船さんだった。

『おはよう三船さん、あれ目どうしたの?』

私は三船さんの目が赤くはれているのに気がついた、そんな三船さんを覗き込みながら尋ねた。

《あぁこれ?なんでもないわよ、ただ昨日は仕事がたくさんあって徹夜だったの》

そう笑いながら答えてくれた。それから三船さんと話しながら検査を受け、検査が終わった。

《今日も異常なし、っと》

そう言いながら三船さんがカルテに今日の検査の結果を書き込む。

その後も少し三船さんとおしゃべりした。

《もうこんな時間か、次の検査遅れたら怒られちゃう。》

三船さんは腕時計を見ながら言った。

『あんまり看護婦長怒らせちゃだめですよ。』

三船さんは少し考えた後そうだなっと笑った。

『その腕時計私がここに来た時からずっとしてますよね。かわいいなぁ私も腕時計しよっかなぁ』

私は自分の手首を眺めながら言うと三船さんは、ははっと笑った。その後少し目を細めながら遠くを見つめるように腕時計を見た。

《じゃぁ夜遅くまで話すのもいいがほどほどにな、若いからってあんまり無理するんじゃないぞ。》

そういって私の頭をぽんぽんとなで病室から出て行った。