翌朝。


「真ー帆!」

私が玄関から出るのを見計らったように貴斗も玄関から出てくる。

無視して学校に向かおうとすると肩を掴まれ止められた。

「おばさんに昨日の飯旨かったって言っといてよ」

「…わかった」

一言で片付けて歩きだそうとするけど貴斗が肩を離してくれない。

「何?」

「真帆さー、どーしてそんな冷てーの?」

珍しく少し気弱な貴斗をマジマジと見上げた。

こうして見ると昔とあんまり変わらないよね。

「真帆?」

返事をしない私を貴斗が覗き込み、思わぬ接近に驚いて一歩下がる。

「別に冷たくなんかないでしょ」

ボソボソと答える私をさらに覗き込もうとするから肩に置かれた手を振り切る。

「ぜってー冷てー」

あー、もー、朝から何なの!?

「別に私が冷たかろーが温かろーが貴斗には関係ないじゃん!いちいちそんな事で引き止めないで!」

私の大きな声に貴斗が目を丸くする。

「真帆って…俺の事キライ?」

「好きでも嫌いでもない。ただの隣人」

私の返事に貴斗は大きくうなだれた。