「昨日はごめんね」

相変わらず図書室で一緒の佐伯くんに前日の事を謝った。

「いや、気にしなくていいよ。あの人…お兄さん?」

暗かったし、私より大きい貴斗をそう思った佐伯くんは気を悪くした様子もなく聞いてきた。

「…うちの隣の人。ママに頼まれたみたい」

隣の人ってのはホントだけど、咄嗟に嘘がついて出た。

「そうなんだ。怖い顔してたからお兄さんかと思ったよ」

軽く笑う佐伯くんにもう一度ごめんねと言った。






あれ以来、貴斗との関係も変わる事なく、貴斗はいつも通り女の子に囲まれている。

佐伯くんとも進展するでもなく何となく宙ぶらりんな状態。

自分の気持ちだってよくわかんないのに、他人の、しかも異性の気持ちなんてわかるはずもない。

真面目に考え過ぎてんのかもしれないけど、性格だから仕方ない。

あーあ、男の子って難しい。