絶対純愛主義

「真帆っ!」

来てくれたーっ!

「おいっ!離せよ!」

貴斗はおじさんの手首を掴んで捻り上げ、私は貴斗の背後に逃げ込んだ。

おじさんは痛さに呻きつつ口の中でモゴモゴと何やら言い訳をしていたけど、貴斗が腕を離すとよろめきながらその場で尻餅をついてしまった。

「行くぞ」

私の手を取ると大きな歩幅で歩くから小走りで付いていくしかなかった。




「おまえ、何やってんだよっ!」

珍しく怒った形相の貴斗に睨まれ、せっかく乾いた涙がまた溢れ出た。

「何もしてないもんっ!貴斗、来るの遅い!」

「どんだけワガママなんだよ」

私の逆ギレに呆れた顔の貴斗。

「だって…だって…怖かったんだもんっ…」

ボロボロ涙が零れて地面に丸い染みを作る。