あれから私はずっと貴斗から逃げ回って顔を合わさないようにしていた。

どんな顔すればいいのかわからなかったし。

帰りに会わないようにするため図書室に寄って時間を潰したりしていた。

ここで一つ発見。

佐伯くんが通っていた。

最初は佐伯くんの邪魔をしちゃいけないと離れて本を読んだり宿題したりしていたけど、そんな私に佐伯くんから声をかけてくれた。

「菅原。珍しいんじゃない?」

めったに図書室なんか来ない私を知ってか笑う佐伯くんに苦笑いを返した。

「うん…。たまにはいいかなって思って。佐伯くんこそ熱心だね」

今度は佐伯くんが苦笑いする。

「ただ本が好きなだけだよ」

うーん。
知的なセリフ。