後片付けをして、二人でソファーでジュースを飲んでいると貴斗が思い出したように口を開いた。

「真帆にお礼しなきゃなー」

あの食べっぷりを思い出して笑ってしまった。

「いいよー。あれだけ食べてくれれば気持ちいいもん」

「お礼はキスでどう?」

私の肩を抱き寄せ耳元で囁かれた声に身体がビクッと揺れた。

「…なーんてね。どーせ真帆の事だからキスすらした事ないんだろけど」

それは図星だったけど、貴斗にそう思われるのは妙に悔しかった。

「何でそんな事あんたにわかんのよ?」

「真帆とは経験値が違う」

あんたの乱れた恋愛事情を経験値なんて良さげな言い方でごまかしてさ。

「…じゃあ、お礼してよ」

変なプライドでとんでもない事を口にしてしまったと後悔したけど後の祭り。