思わず悲鳴を上げそうになった美月の口を慌てて抑えた涼平は息を殺して立ち去るのを待った。

こんな所を見られたら、美月が退学、よくても停学になってしまう。

自分はクビになっても他の仕事に就けるだろうが、美月を巻き添えにする事だけは避けたかった。

涼平が不在だとようやく諦めたのか

「どこ行ったんだろなぁ」

などと言いながら去っていったのを耳をすまして確認し美月の口から手を離した。

美月は大きく息を吐いている。

「びっくりしたぁ…」

まだ寝たままの体勢で目をクリクリさせながら言う美月の手を引っ張り机に座らせた。

「ヤバかったな」

苦笑する涼平に美月は

「ヤバいってこの事だったの?」

と首を傾げて聞く。

それはヤバい違いなんだけどなと内心おかしく思った涼平だったが、自分の欲望を制御出来ず美月を危ない目に合わせた事を申し訳なく思った。