「ありがとうございます…」 帰ろうと足を前に進めたその時、腕を引っ張られて先輩の腕の中にあたしが収まっている状態になる。 状況が飲み込めない…。 「俺は、雄輔に勝って優歌ちゃん振り向かせるから」 『じゃあな』と言うと何事もなかったかのように鞄をしょって階段下へ姿を消していってしまった。 生暖かい感触が背中にもやもやと残っていて気持ち悪い。 龍哉先輩、『雄輔に勝って』って言ってた…。