龍哉先輩の表情がさっきとは違い一気に曇る、あのいたずらな笑みはどこへいったのか知りたいくらいだ。 「ごめんなさい、忘れられなかったんです」 雄輔のことが。 やっぱり龍哉先輩といるときだってふとした時に影を重ねていたりする。 「どういう意味?」 「あたしには忘れられない人がいるんです、誰よりも大好きで大好きでしかたない人が…」 「俺はそいつには敵わねぇな」 笑ってそれだけ言うと走って行ってしまった。