着いた場所はマンションの目の前。 「マンション?」 「ああ。」 私はヘルメットを取りながら、 ありがと。 と言ってヘルメットを夜琉に渡す。夜琉は私の腕を引きバイクから下ろしてくれた。 私にはぶかぶかだったヘルメットはきっと夜琉が使うのだったのだろう。だから、ノーへルの夜琉に申し訳なかったが夜琉の優しさを受け取りたくて借りてしまった。 「あ、夜琉の家?」 少し躊躇いがちに聞いた。 「ああ。」 と答えた夜琉の目は何も映していなかった。