「…部屋わ埃をかぶっていたけど、きれいだった。
志音の性格上、汚い部屋にわ住めないからね。」
「…きれい好きな性格わ、有志譲り、か。」
「…―まぁね。きれい好きな志音の部屋の机の上にわ、一冊のノートが置いてあったよ。
俺たちに読んで欲しかったんだろうね。分かり易いところに置いてあったから…。」
ようやく写真立てから、視線を逸らした有志わ、ゆっくり上を向き、瞼を閉じた。
「…―志音の苦悩に満ちたノートだった。」
閉じた瞼から、一筋の雫がこぼれた。
「え…?」
思わず俺わ声を漏らす。
え…?
有志が、泣いてる…?
16歳の時から、親友をしている俺が初めて見た有志の涙。
有志の性格上、泣くという行為をする事わ決してないと思っていた。
実際、有志わ泣くという行為をする事わなかった。志音が死んだ時でさえ泣かなかった。
3歳まで、だった。
有志わ3歳を期に、泣くという行為を忘れていたー…
今日、芯の前でこぼしたたった一滴の涙わ31年ぶりだったー…。
31年ぶりの涙わ
切ないながらも、美しかったー…

