=キング of ビースト= 2




「志音が…死んで、から志音の部屋にわ入った事がなかった。」


どこか遠くを見て話す有志。


「由莉わ、一度だけ入ったけどな。」


「…。」


「…―志音わ髪をいじったりするのが好きだった。だから、ヘアーボックスを持ってた。それを取りに一度だけ入ったらしい。」



「…。」


「…―俺たちですら、入れなかったのに。」


弱々しく笑った有志わ、写真立てに目を向ける。


「…―由莉が起きなくなったって聞いた日、芯と夜琉が帰った後に莉菜と2人で開けたんだ。志音の部屋。」



その写真立てにわ、眩しいぐらいの笑顔をする一つの家族が写っていた。




「…―志音を思いだしたよ。」

「…?」


「…―志音が死んでからわ、志音の事を忘れていた。



志音わ、強い心を持っていたのに。


志音の死に捕らわれて、志音の命をかけて守ったモノを守ると言うことを、忘れかけてた…」


志音の暖かい、強い心を思い出したんだー…


淡く呟いた声わかすれていて、写真立てに写る人物とわまるで違う表情をしていた。