「……ねえ、わたしが拓真に運ばれたって本当?」 二人きりになった保健室で、わたしは気になっていたことを聞いた。 「あ、先生に聞いた? 本当だよっ、拓真にお姫様抱っこされてねっ!」 心なしか、『拓真』と『お姫様抱っこ』が強調されている気がするんだけど。 気のせい? 「もう皆の注目の的でねー。今回はあたしら2組だけだったけど、4組まで学年皆居たら、もっと騒がれただろうねー」 ニヤニヤと美希が笑う。 ――そんなに注目されたんだ……。 「……あー、そう……」 わたしは苦笑するしかなかった。