「今日も同じ電車だったんだ。」
レイは私の隣に座り、今日も笑顔で話しかけてきた。
「また?少しは一人で登校させてよ。」
なんて、心の隅にもない言葉。
今日も同じ電車なんて、最近は幸運だ。

レイは私の3つ上の男。
今は高3。
中学生の私にも明るく振舞ってくれる、優しい人。
レイは舞子(姉)の友達で、よく数人の友達と一緒にうちに遊びに来る。
私はそんなレイに、前からずっと恋をしているが、そんな事当然レイは知らないし、舞子にも言った事はない。

「レイ、髪切った?」
私は目をそらしながら聞いた。
レイは頷き「昨日切った。」と答えた。
髪を切った顔をよく見たいけど、恥ずかしいからいつものように、レイとは逆方向を向いている。

「次は●●駅ー●●駅ー」
レイが降りる駅の名前。
だから私は、この駅が一番嫌いだ。
駅長の声を聞いたレイは、バックを手に取った。
『もう少し一緒にいたい』と、相手も思ってくれていないと分かっている。
だけど、何故かいつも寂しい気持ちになる。

「じゃあね。学校頑張れよ。」
レイは私に軽く手を振った。