「第一秘書となりますと

　　代議士の右腕ですね」

　「はい、大竹は中国関係の方々と

親交が多く、日本と中国の橋渡しの

様な事をしております。」

バックに代議士がついている！
千裟の父は、この組織は信用
できると考えていた。

「そうなんですか」

千裟の父は、感心したような
返事をした。

その言葉の響きを、望月は悟り

「お嬢さんのこと、ご安心下さい」

自宅に帰った千裟の父、忠雄は
数時間前の出来事を妻、順子に
話をした。

「貴方の話では、大丈夫ですね」

「お金、大丈夫」

「定期預金を解約すれば

　２千万円位なら在りますけど」

「渡航費と滞在費も考えて

後、１千万円は用意して置いたほうが

いいな」

「株を少し処分しましょうか」

「そうだな、東京汽船を売れば

１千万円位になるから、そうしよう。」

「千裟には、いつ話しましょう？」

「まだ、はっきり決まった訳でないから

それまで、話さないでいよう。」

「そうですね！期待を持たせて

失敗したら、落胆も大きいでしょうから」

「お金の準備ができたら、望月さんへ

連絡するから、教えてくれ」

それから、数日後千裟の父に
望月から電話が掛かってきた。

「どうでしょう？」

千裟の父はすぐに

「お願い、したいと思います」

「それでは、前金として

１千万円、頂きたいのですが」

「わかりました。そちらの銀行口座を

教えて下さい。」