「痛い」夢子が声をあげる。

「あっ!ごめん」

翔は手を引き小指の爪の
運命に脅えた。

脅えを払拭するかのように
翔は夢子のその耳を
軽くなめた。

「もぅ!くすぐったい」

夢子は嬉しそうに声を出す。

夢子は今日の試合で自分がMだと
知り、もし!この後!

翔が耳を噛んできたら
変な声を!出しそうに
成りそうだった。

夢子はまた、あらぬ妄想を
抱いた。

翔の家は、ここから歩いて
20分位だ。

誘われたらどうしよう。
二人きりで部屋の中!
すると翔の声が・・

「俺の家、ここの近くだけど」

夢子は!
<来た来た!もちろんOKだけど
すぐに行ったら軽い女だと思われる
様な?どうしよう>

「今日、家に誰も居ないんだ」

その翔の返事に、またあらぬ事を
想像する夢子!

「だから!また今度誘うから」

なんって!返事したらいいのか
夢子は戸惑って・・

「いいよ。今度また誘って?」

夢子は、思い出したように

「ネエ!この近くに馬事公苑

 あるでしょう?」

「ココから、バスで7~8分

歩いて20分かな?」

「歩いて行こう。」

夢子は、翔の手を握り
歩き出した。

秋のやさしい日差しを浴びて
二人は、公園の中を通り
馬事公苑に続く銀杏並木通りに
いた。

時折、ふり落ちる銀杏の葉が
背の高い翔の頭や肩にふれて
夢子の身体にふれて路上に
落ちて行った。

美果と衛の時のように
美男美女の二人を見た
通りすがりの人が振り返る。